【喫茶店マスターの足利偏愛日記 VOL.1】

私の住む街、足利市には愛してやまない場所がある。
北仲通りを織姫神社方向から東へ向かい、フレッセイ裏手を5、60m進んだ右手に現れる蔦に覆われたお店、盛京亭。

築43年の建物に絡みつく蔦が独特の雰囲気を醸し出している。
“なんか良いじゃん。
そそられる。
うまいものと出会える予感しかない。”
それが私の初感だった。
暖簾をくぐると、奥行きのある広いお店が広がっている。

入ってすぐに、テーブル席とカウンター席。
奥には座敷席。
厨房付近にくると、大柄のマスターと明るく元気な女将さんが優しく『いらっしゃい』と気持ちを込めて言ってくれる。
温かい。
その時点で私の心は温かい。
カウンターに座るとすぐにメニューを伝える。
私はだいたい、冬季は味噌ラーメン、夏季は冷やし中華と決まっている。
今日は暑かったので、夏季メニューの『冷やし中華』にした。
ここに来ると、どうしても“外せないこと”がある。
一つは、麺類を注文する時に”とりから”をトッピングすること。
そして、もう一つは“餃子”をたのむこと。
この二つを麺系メニューと組み合わせる事で、至極の逸品になる。
注文後、待っている間の厨房から届く美味しい”匂い”や美味しい”音”が、たまらなく一気に腹を減らせる。
油で唐揚げを揚げる匂い。
中華鍋をカッカッと振る音。

しばし匂いと音を楽しんでいると、
カウンター内では、調理するマスターとそれをサポートしている女将さんが目に入る。
サポートしている女将さんにマスターが時折、
『ありがとう〜。』と言っている。
温かい。
愛を感じほっこりする。
私も見習わらければ。
そんな風景を横目に、
『おまちどー』とカウンター越しに、冷やし中華(とりからトッピング)と餃子が登場。

この日は空腹だったため麺は大盛に。餃子は2人前。
匂いと音で空腹感を高められた私の喉がゴクリと口に溜まった唾液を飲む。
口の中は”あの味”が入ってくると待ちわびている。
割り箸を割り、早速餃子を一口。
うまい。
軽い。
箸が止まらない。
おっと。
からあげも揚げたてのうちに。
サクッ。
うまい。
香ばしい香りとジューシーな鶏肉。
きゅうり、焼豚、卵だけのったシンプルな冷やし中華も一気にズルズルと吸い込む。
うまい。
さっぱりとしたタレと太麺の麺が、からむからむ。
ジューシーな唐揚げを、冷やし中華のさっぱりとしたタレが味わいを軽くしていく。
竜田揚げにポン酢をかけたような…そんな感じだ。
合間に餃子を挟みつつ、もぐもぐサクッズルズル。
気づけば目の前には空の皿とタレの入った器。

満たされた胃袋は、また次回を楽しみにしているようだ。
『ごちそうさまでした。』
とレジに向かうと、マスターと女将さんが笑顔で、
『ありがとうねー。』
と気持ちがこもった挨拶を返してくれる。
おのずと、
『またきまーす。』
と返してしまう。
料理も抜群にうまいが、
お2人の温かい雰囲気が作り出す居心地の良いこのお店は、
まるで実家のようだ。

また来よう。
居心地の良い、愛してやまないこの場所に。

【お店情報】
創業52年の中国料理店。創業時はグラウンド近くにあったが、現マスターが幼少の時に現在の場所に。
当時の現店舗は木造2階建てで中庭があったそう。
現在の仕様になったのは43年前だそうだ。
店名/盛京亭
住所/栃木県足利市通3丁目2614
電話/0284-21-5632
営業時間/11:30〜14:00
17:00~21:30
定休日/毎週日曜日
※コロナ禍のため、営業時間が変わる場合がございます。 店舗に直接お問合せください。
【ライタープロフィール】
喫茶八蔵 店主 梁川健人
36歳 2児の父
楽しいこと、コーヒー、ビール、映画、町中華大好き
足利ミッドタウン商店会 イベント担当