【濃いキャラ図鑑01】ワインショップ和泉屋に棲みつく妖精に迫る!

みなさんは、通3丁目にあるワインショップ和泉屋をご存知だろうか?
スーパーマーケット「フレッセイ」の向かい側、共同ビルの1Fに店を構える老舗だ。
最近では「餃子の雪松のとなり」という方が、伝わる場合が多い。
ところで、このワインショップ和泉屋。
若旦那である泉賢一氏の名刺がすごいのだ。
早速名刺を見てみよう。

うん、表は至って真面目。
代表取締役だなんて、立派だ。
取り立てていうこともない、どこにでもあるような名刺だ。
しかしめくってみると・・・

・・・・・・・。
この名刺を見て、あなたは何を感じただろうか?
もし直接手にしたのなら、「ヤバい!見てはいけないものを見てしまった!」と焦るに違いないし、
気まずさのあまり見て見ぬふりをしてしまうかもしれない。
少なくとも、絶対にリアクションに困るだろう。
相手のリアクションを試すようにこの名刺を配りまくる、和泉屋の泉氏。
紛れもなく濃いキャラ図鑑にふさわしい逸材だ。ていうか変人だ。
この名刺に描かれたワインの妖精とは、一体どのような人物なのか。
怖いもの見たさで、妖精の実態を捜査することにした。
実際に和泉屋の店舗へ突撃してみた。
ショーウィンドウからは、大きな「WINE SHOP」の文字と共に、ポップなデザインのキャラクターが
飛び込んできた。名刺から受けた印象とは違い、可愛らしいデザインのショーウィンドウだ。

ヤバくはなさそうだ。これは一見客でも入りやすい気がした。
というわけで、入店。

おお!壁一面、所狭しとワインボトルが並んでいる。
しかもボトルの並べ方がユニークだ。
壁に沿って。空いた穴にすっぽり入っているではないか。
「その壁は、ワインを寝かせて保管できるように作ってもらったんです。
コルク栓のワインは立たせて保管してはいけないので」
そう言いながら現れたのは他でもない、ワインの妖精こと泉賢一氏その人である。

意外と甲高い声の妖精は、見た目は恐そうだが、そこまでヤバそうな雰囲気はない。
むしろ色々と親切にお店のことを教えてくれた。
あれ?意外と普通の人間?
和泉屋の創業は江戸時代まで遡るそうで、妖精こと賢一氏が8代目になるそうだ。
ずっとこの場所で商いを行ってきたが、造り酒屋だった時代もあるのだとか。
今の店舗である、共同ビルができたのが1972年だが、その頃の写真も見せてくれた。


せっかくなので、ワインを買ってみようと思い、オススメを聞いた。
ワインの知識に疎い記者なので、どう買ったら良いのかさえよくわからなかったのだが、そこはさすがワイン専門店。
「どんな料理と合わせますか?」
「辛いのと甘いのはどちらが好みですか?」
「予算はどれくらいですか?」
などなど、丁寧にヒアリングしてくれ、オススメを提示してくれた。

さらに、オススメ銘柄について丁寧に説明してくれる泉氏。
「こちらは『コルテーゼ アルト モンフェッラート グラッフィティ』というワインです。辛口で、和食に合います。刺身はもちろん。塩系料理、例えば海老の天ぷらとも合いますよ。グレープフルーツのような酸味もあり、ミネラル感も感じられます。」
なるほど、さすがワインのプロフェッショナル。そのほかにも品種から産地、国の特徴など、饒舌にワインを語る。
説明はわかりやすいし、ワイン初心者でもとても理解しやすくてありがたかった。
なにより、妖精さんのワインに対する熱量はさすがだと思った。
名刺で見るほどの変人ではなさそうだ。
ワインの妖精の実態を探るべく棲家に突撃取材をしてみたわけだが、怖い思いをするどころか、とても良い気持ちで店を後にすることができた。
ワインを語る泉氏は、間違いなくプロであったし、とても親切な人でもあった。
今回の取材を終えて感じたことは、もしかしたら変人とプロフェッショナルは紙一重なのかもしれない、ということ。
彼は、変人とプロフェッショナルの間をとって「妖精」と名乗っているのかもしれない。
ちなみに、泉賢一氏は足利ミッドタウン商店会の会長でもある。
自称妖精の商店会長のなど他にいるだろうか。
森羅万象摩訶不思議である。
これからも、このカテゴリーでは足利のキャラの濃い人を収集していきたいと思う。
〈おわり〉
【お店情報】
店名/ワインショップ和泉屋
住所/栃木県足利市通3丁目2777
電話/0284-21-3648
説明/地域を代表するワインの専門店。ワインの知識が全くなくても、優しく丁寧におすすめのワインを案内してくれる良店。
【ライタープロフィール】
鶴見 裕也
足利で活動するデザイナー。表向きはブランディングデザインを行っているクリエイター。実は面白いこと、くだらないことが大好物。趣味はテニス。お酒大好き。足利市内を徘徊している。