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【このまちを知りたい旅 Vol.4 ぱっと二条プロジェクトin佐野】

このまちでお店を開いて、
店や仲間を通して色々な繋がりができた。
けれどまだまだこのまちのこと、知らない場所も人も沢山ある。
「足利をもっと知りたい!」の想いに導かれて、仲間と時々ローカルツアーをしてみることに。

冬晴れのある朝。
両毛線足利駅に、どこからともなく集まってくる足利ミッドタウン商店会の人々がいた。
「なんだか遠くへ旅に出るような気分だね」
と小山方面のホームへ。
あしかがフラワーパーク駅、富田駅を過ぎ下車したのは佐野駅。階段を降りたところで待っていたのは、揃いのTシャツを着た面々だった。

そう、今回は足利のまちからちょっと飛び出して、会いたい人達に会いにやって来た。
佐野駅前の小さな路地「二条通り」を拠点に、まちづくり活動を行うグループ「ぱっと二条プロジェクト」。
きっかけはミッドタウンメンバー、たびするおでんもっくもっくの常連さんがある晩ぱっと二条の1人と来店、カウンターごしに紹介されたことから。
街に明かりを灯し、人が集う場を提供したい。そんな想いを抱いている人々が隣町にいる。
似て非なるご近所エリアではどんな出来事が繰り広げられているのか、私たちのこれから、足利での活動の糧になればいいなと思った。
出迎えてくれたのは、不動産業を営む若田部賢さん、建築設計事務所を営む溝口泰史さん、熊倉ナオキさん。
挨拶もそこそこ、じゃあさっそく歩きましょうか!と動き出す。

初めに案内されたのは駅に向かって西側の筋。
音楽教室が入っていたとあるビルの前で立ち止まる若田部さん。
見上げると、『Co×Co Works』というテナントが入っていた。
「ここは私が運営しているコワーキングスペースなんです」
数年前から小さなコワーキングスペースを幾つか運営していたが、市の補助金を活用できる機会があり、ビルのリノベーションもして、2023年2月、本格的にオープンしたんだそう。ニーズが確約されていたから作ったというよりは、場を作ったら次第にニーズが見え、ユーザーの顔が見えてきたという。

もう1軒案内されたのが路地を入ったところにあった『佐野ラーメン予備校』という
建物。
「ここも私が運営しているんです」と若田部さん。
知人のラーメン屋さんと市から若田部さんへ相談が持ち掛けられた。
佐野市への移住希望者への起業支援の1つとして、「佐野ラーメン」のノウハウを教え開業までのサポートを行う。
「もちろん起業時の物件の提案もしています」
さすが不動産のプロ。「移住」「起業」を実現するのは本人の気力次第、でも夢が夢のままで終わらない為の強い後押しがそこにはあった。
予備校は元ラーメン屋を改装してある為、プロ仕様の厨房完備、訪れた時は間もなく開業を控える方がメニューの試作に励んでいた。
移住希望者はえてしてその土地に縁も持たない方、縁が薄れている方も多い。
「このサポート体制は起業する側にとっては安心できますね」と利用者の方。

佐野駅前は、2011年の東日本大震災後、建て替えされた市役所を中心に区画整理が完了している地域。
新しい店やチャレンジショップがあるなと、足利へ移住してきた5年前からちょこちょこ訪れていた。
でも、このエリアの歴史や昔からある店のことは全く知らなかったし知る術もなかった。

駅に向かって東側に少し行くと、なんだか懐かしい細い路地裏が出現。
「ここが二条通りなんです」
その辺りに交錯する幾本かの筋が二条通りというらしい。
若田部さんは通りマニア、まち歩きが大好きで特にこの二条通りに惚れこんでいる。

「区画整理一期で市長が変わってこのラインからこちら側は、昔のままの風景が残っているんです」
消防車が入れない路地、火事の名残がある空き地、安全面では課題はいくつも残る。
でも家屋の連なりまちの歴史が作り出すその風景はそこにしかない。
足利にもそんなところがいくつもある、そこに惹きつけられているミッドタウンメンバーは深く共感。

不動産業を営んでいる若田部さんはここで何かしたいと思った。まず市役所の担当課を訪ね、空き家の所有者へ手紙を送った。どうにかしたいと思う人間がいるということを伝えたいと思った。運よく担当者が熱意のある人で、運よくある大家さんから返事を頂くことができた。
そして片付けと改装を進めていった。この家の一角を事務所にして人が出入りするゲストハウスを運営することにした。許認可関係をお願いしたのが、以前から仕事で付き合いのあった溝口さん。
そして次に、長らく暗闇に包まれていた二条通りのゲストハウス近くの街燈を1つ復活。二条に再び、ぱっと灯りがともった瞬間。

溝口さんと同様に建築事務所を営む熊倉さん。
熊倉さんもまちづくりの活動がしたいなあ、でも何かやりたいけれどどうすればよいのかという感じだったから、実際にやってみれば?と二条通りの丁度入口に位置する元スナックだった物件を、メンバーの拠点としてリノベーションすることに。

この日はこの拠点にお招き頂き地元名物「いもフライ」(佐野はパン粉付き、足利は天ぷら風)や「ふみきりすし」(気になっていたお店だった!)を皆で頂いた。

事務所を構えて腰を据え、この界隈の取り扱い物件を増やしていった若田部さん。そのうちのひとつに2022年、餃子屋さんがオープンした。出店希望も徐々に増えてきた。
でも次に感じたこと、店ばかりではなく、なにか用事がなくても居られる場所が必要だと思った。自然と人が集まる場所。
そして、ゲストハウスの隣の空き地に着手することに。

蔵の解体現場から大谷石を運び地面に敷いた。知り合いの石屋さんや外溝屋さんに協力してもらった。また、こういった活動をSNSで発信していたら興味があって参加する人も出てきた。市役所職員や市議会議員も私人としてやってきた。
「まちづくりってまず一人がやること、そうしたら集まってくるんだなあって思います。
広場を作ったらのぞく人が出てきた。でもまだまだ利用する人は少ない。今度は人の流れをどう促すかが課題ですね。でも行動するからその先が見えるんだな」

毎月20日(二条をもじって)にはこの界隈の清掃活動をしている。地元の方に自分たちの活動を理解してもらえるように。高校生やボランティア団体、先日はミッドタウン商店会会長も参加。
「協力者を増やすのってどうしたらいいんですかねえ」
というのは共通の課題。色んな人に知ってほしい。色んな人とこのまちへの想いを共有したいし楽しみたい。

足利の隣のまちで活動する人々の話を聞いて、このまちのことを想う。

◆後日、今度は「ぱっと二条プロジェクト」が足利まちなかを来訪!路地裏探検、ほろ酔いウォーク、語らいの中でお互いの持ち味、課題を認識できた充実のひと時でした。
ありがとうございました、今後もゆるーく繋がりましょう!

【ライタープロフィール】

なべのそこ
大正6年に建てられた古民家をベースに、色々やっています。
EVENT,RENTAL SPACE,LOCAL TOUR,and more

まちはなべ。
まるでおでんのタネみたいに、
多様なヒトモノコトが
なべの中を行き交っている。
ぐつぐつ煮込んで
滲み出した深~い旨みが
このまちの魅力だと私は思う。

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