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【探検!趣味の街 11】
   部長の私的映画案内『戦場にかける橋』

そういうわけで、しばらくの間“中橋”を“渡良瀬橋”と勘違いしていた植野です。
正真正銘純度100%混じりっけなしの足利生まれ足利育ちなんですけどね。
『渡良瀬橋』という曲のタイトルになるくらいなんだから、市内で一番目立つ橋に違いないと思い込んでいたのが原因。
曲がリリースされた後、数年間は“中橋”のことを「“渡良瀬橋”なのだ」と信じていました(笑)

中橋から望む渡良瀬橋

だって東武線の足利市駅を降りたら、真っ先に突き当たる橋が“中橋”なんですもん。
実際の“渡良瀬橋”は“中橋”より、一本上流側の橋です。
そんなこんなで僕の中では足利の橋といったら“中橋”なのです。

植野的“中橋“ベストアングル

さて市民の皆様は、ご存じのことと思いますが、そんな“中橋”も秋には架け替えに向けて本格的な工事が始まるそうです。
現在の橋は新しい橋の下流側に移動して、新しい橋と並行して設置されるとのこと。
今は準備のための工事の最中です。
しかし現役の橋として、その勇姿を見ることができる時間は残り少ない!
ということで今回のテーマは、その“中橋”に思いを馳せて、そこから連想される映画をセレクトしてみました。

やっぱり北側からのアングルに馴染みがあります

なにか“橋”というモチーフは映画を制作する人の感性を刺激するらしく『マディソン郡の橋』や『遠すぎた橋』など、さまざまな映画が存在します。
僕が今回セレクトした映画も、そんな“橋”をテーマにした一本。
『戦場にかける橋』。
ちょうど橋をかけるという共通点があるなと。
現在工事中の“中橋”も『足利にかける橋』ですからね。

こちらから見ると「帰ってきたな」と思います

僕が、この映画と出会ったのは、高校生の時に読んだ村上春樹の『風の歌を聴け』まで遡ります。
その時は「ほー、橋をかける映画なのか地味なテーマだな」と思ったのが最初(笑)
あくまで映画を見ていない一高校生の感想として、大目に見ていただけたらと思います。

ざっと、あらすじだけ紹介してしまうと時は太平洋戦争真っ只中の1943年。
日本軍の捕虜収容所に送られてくるイギリス軍の一隊。
橋をかけるという労働に従事させられるものの、指揮官は反抗。
兵隊たちもサボタージュで反抗の意思を示します。
しかし橋をかけるという目的を共有する中でやがて・・・、という感じのお話です

いざ見てみると戦争を扱った映画なので、わりと悲惨。
最初の印象は吹き飛びました。
でも主題歌の『クワイ河マーチ』は、妙に明るくてアンバランスな気がしました。
『大脱走』という映画も捕虜収容所という舞台が似ていて、テーマ曲は妙に明るい。
どちらもよくCMとかで耳にする曲なので、「あぁ、あれか!」となる方は、結構多いんじゃないかな?と思います。
その繋がりで言うと『第三の男』とかも、そのパターン。
マーチという楽曲自体が、行進曲という名が示す通り、行進する時に奏でられる曲ですからね。
軍隊とは切っても切れない関係性なわけですが。

話が逸れてしまいました。
最初は割と悲惨な状況であったものが『プロジェクトX』的な、いかにして橋をかけるか?という点に主眼が移るんですが、架け替えが進む“中橋”を見ていても「あぁ、あの映画では、いろいろ苦労を重ねていたな」とオーバーラップするものがあります。
状況は全然違いますけどね。
映画では橋をかけるという点から見ていても、戦争という状況は、やはり不条理だし、理不尽。
「不条理でも理不尽でもない戦争などあるものか」と言われてしまえば、それまでなんですけどね。
平和という状況のありがたさや、尊さを感じずにはいられません。

進む工事、無事に終わって欲しい

そして主人公の1人、イギリス軍指揮官のニコルソン大佐を演じているのはアレック・ギネス。
俳優の名前だけでピンと来た方は、かなりの通。
誰あろう『スターウォーズ』旧三部作で、あのオビ=ワン・ケノービを演じた俳優です。
だいぶオビ=ワンとは違う役どころですけど。
その頭の硬さたるや、他人を見ているとは思えないほどです。

記者の心のランドマーク

古い映画ですし、かなりの長編映画なので観る人を選ぶとは思いますが、あえて橋をかけるという工事が行われている、このタイミングで観ることで、また違う視点で観ることができるのじゃないかなと思います。
僕は物理的に橋をかけることはできないけれど、足利という街と、この記事を読んでくれた人のあいだに、心の橋をかけることができたら幸いです。

【ライタープロフィール】
 植野 弘武 (うえの ひろむ)
 イズミヤ映画部「部長」/まちを紹介し隊「隊員」/“足利の”ミニ四ファイター
 映画/音楽/美術鑑賞、ミニ四駆、読書、園芸等、多様な趣味を持つ。
 美味い料理と、美酒が好き。
 無闇に豊富な知識で重箱の隅を突いて回っている。
 生まれてこの方、初見で名前をちゃんと読まれたことがないのが悩み。
 座右の銘は「人は流れに乗ればいい。だから流れに乗ってみる」。

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